被写体に緑が入っていたら?

 展示会などでよく聞かれることなのですが、グリーンバックで撮影してクロマキー合成するとき、被写体に緑が入っていたらどうなるのかは気になるところですよね。
 もちろん全身緑タイツの人とかは相当きついですが、洋服の一部に緑がある程度なら、簡単にきれいな合成ができます。

 先日の撮影会でものすごくちょうどいい写真が撮れたので、今回はそれを例に、被写体に緑があるときの合成テクニックをご紹介いたします。

 以下が今回使う写真です。


帯の緑が背景のグリーンと同じ色

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SNAC2008終了。多数のご来場ありがとうございました!

 7月8日(火)、9日(水)と、東京ビッグサイトで行われていたスタジオ写真フェア2008(SNAC2008) に出展しておりました。この展示会には初めての出展だったのですが、いやーー、ROBUSKEY史上最大の盛況ぶりでした。ご来場くださいましたみなさま、どうもありがとうございました。

 今回は、ウェディングドレス姿のモデルさんをグリーンバックで撮影し、その場で背景と合成して見ていただくというデモを行いました。ROBUSKEY自慢の「風になびく髪の毛の先のディテイル」と「透けるベール」が自然に背景と合成される様子がご覧いただけたかと思います。


 デモをしている様子です。


 ご覧のように、たくさんの方々に集まっていただけました。


 個人的には、別のブースで写真スタジオの方がしていた撮影デモが面白かったですねー。

 成人式などのごく普通の記念撮影を行うスタジオで、別に全然プロのモデルのためのスタジオではないらしいのですが、ライティングやらポーズやらがなんだかすごく凝っていて、一回の撮影にかける時間がなんと平均45分らしいです。

 それだけがんばって撮ってもらえれば、振袖を着る甲斐もあるものよなあ、と思いました。
 
 ええと、何が言いたいかというと、スタジオ写真といってもいろいろなものがあって、新しいサービス、試みがどんどん生まれているのだなあ、ということを実感した、ということです。
 で、ROBUSKEYも、そういう新しい試みのひとつとして利用していただけるものなのだ、という思いを新たにしたSNAC2008でありました。
 

SNAC2008に出展。ROBUSKEY作例メイキング。

 来る7月8日(火)、9日(水)に東京ビッグサイトで開催される スタジオ写真フェア2008(SNAC2008) に、クロマキー合成ソフト ROBUSKEY for Adobe Photoshop を出展いたします。

 今回は「スタジオ写真」ということで、実際に写真スタジオで撮影したROBUSKEYの作例を展示します。
 ということで、今回はこの作例のメイキングをお送りしようと思います。


 撮影を行ったのは、大崎にある GAZONE スタジオ です。こちらのスタジオでは、七五三や成人式、ウェディングなどの写真を多く手がけていらっしゃいます。

 まず、以下のように背景スクリーンのみの撮影を行いました。


  


 これを人物と合成するわけです。ここでは二枚しか紹介しませんが、こういう画像を何枚も用意しておけば作品の幅が広がります。

 次に、以下のようにグリーンバックで人物を撮影しました(注:被写体は成人式風に振袖姿ですが、別に二十歳ではありません)。



 最後に ROBUSKEY を使って合成です。

 撮影は結構がんばったのですが、合成の作業はたぶん3分くらいです。早いです。
 
 最終的な作品です。




 SNAC2008当日には、七五三の家族写真、子どものドレス姿の写真など、たくさんの作例を展示いたします。ぜひ見にいらしてくださいね。

ブロックノイズのできるわけ(2) 〜離散コサイン変換1〜

 さて、前回はMPEG-2やJPEGでブロックノイズのできるわけを大雑把にお話しいたしました。今回はその中の「画像をブロックに分割し、それぞれのブロックを『ある64枚の8×8ピクセル画像を重ね合わせる』ことで表現する」という部分にフォーカスを当てて書いてみたいと思います。

 とりあえず以下の画像を圧縮してみることにしましょう。説明を簡単にするために、カラーではなく白黒の写真を使います。



 まず、この画像を8×8ピクセルのブロックに分割します。



 緑の線で区切られたひとつひとつの四角が8×8ピクセルです。このブロックをひとつひとつ処理していきます。

 ではまず、一番左上のブロックに注目してみましょう。

 これです。



 これを、「ある64枚の8×8ピクセル画像」を「重ね合わせ」て表現します。「ある64枚の8×8ピクセル画像」というのは、以下の画像です。



 なんだかよくわからない画像ですが、実は、先程注目してみた一番左上のブロックは、(0, 0)の画像を1062.6枚、(1, 0)の画像を-15.84枚、(2, 0)の画像を2.87枚...という具合に重ね合わせていったものと同じになります。
 「枚」なのに小数だったり負の数だったりするのはおかしいと思われるでしょうが、これについては後で説明します。
 この「何枚」という数字を8×8のマトリクスで表すと、次のようになります。



 さて、このマトリクスをよく見ると、左上のあたりは数字の絶対値が大きいですが、右下にいくにつれどんどん小さくなっていきます。
 左上のあたりの数字は必要だけれど、右下のあたりは「みんな0」ということにして無視しても画像の見た目は変わらないんじゃないか...という気がしませんか?
 なんだか「圧縮」ができそうな雰囲気です。

 ...と言っても、どうやって「(0, 0)の画像を1062.6枚」というように「枚数」がわかるのか、そもそもあの64枚の画像はなんなのか、ということを説明していないので、まだ何も説明していないようなものですが。

 今回は画像をたくさん載せたため、長くなってしまいました。引っ張ってすみませんが、また次回。

ブロックノイズのできるわけ(1)

 予告通り、ブロックノイズの発生するわけについて書いてみます。
 自分の理解が正しいのかどうか甚だ心許ないですが。

 間違いや、こう説明したほうがわかりやすいよ、というアイディアなどございましたら、どしどしお寄せくださいませ。


 さて、MPEG-2やJPEGでは、下記のように、ブロックノイズと呼ばれる現象が発生する場合があります。


モザイクのような小さな四角が現れています


 これは、圧縮に起因する現象です。
 MPEG-2やJPEGでは、画像を小さなブロック(8×8ピクセルなど)に分割した上で、ブロックごとに画像を「ぼかす」、つまりデータを間引いて圧縮します。 ブロックごとにデータを間引く処理をします。この結果、ブロック全体が「ぼける」ことになります。(「ぼかす」という表現をすると「ぼかしの処理を入れる」というように誤解される可能性があるため、修正しました)
 このとき隣接するブロックで「ぼけ」の度合いが異なるため、ブロックの境目がくっきり見えてしまうことがあるのです。


 では、具体的には、画像をブロックに分割して圧縮、というのはどうやるのかと言うと、次の通りです(大まかなイメージですので、全然正確ではありません)。


1. 画像を8×8ピクセルのブロックに分割し、それぞれのブロックを「ある64枚の8×8ピクセル画像を重ね合わせる」ことで表現する

 つまり、「Aという画像を200枚、Bという画像を150枚、Cという画像を140枚...」という具合です。
 この結果、200, 150, 140... という感じで1ブロックにつき64個の数字が出てきます。

 この64枚の画像がどんなものなのか、本当にこの64枚を重ね合わせることで画像が表現できるのか、ということがやや疑問ですが、その点はまた後で出てくるので、ここではそういうものだと思うことにしましょう。


2. 64個の数字をそれぞれ決まった数で割り算して、小数点以下を切り捨てたものを順番に並べる

 1番目の数字は8で割る、2番目の数字は16で割る、というように、何で割るのかはあらかじめ決まっています(割る数は正の整数です)。

 割り算をすることで数字が小さくなるので、ここでデータ量が減ります。

 また、自分より大きい数で割って小数点以下を切り捨てると、もれなく0になることも重要です。
 実は、64個の数字の後ろのほうは、割り算の結果が0になることが多くなるように仕組まれているのです。


3. 順番に並べた数字を更に短くする

 例えば、"0000000"という部分は、0が7個並んでいるので、"0"と"7"の2つの数字さえあれば表せます。
 具体的にどのような方式で表すのかはともかく、7文字よりは短くすることができるわけです。


 上記三段階は、きちんとした言葉で言うなら、それぞれ「離散コサイン変換」「量子化」「符号化」に対応します。
 この中身にもう少し詳しく立ち入らないと、ブロックノイズが発生する仕組みには迫れないので、次回はそれぞれについて(やや)詳しく書いてみることにします。

動画クロマキーツールのサンプルムービー

先日ご紹介した、現在開発中の動画クロマキーツールを利用して作成したムービーをYouTubeにアップしました。
「使用前」と「使用後」が比較できるようになっています。

動画クロマキーツールを作っています

 現在、わがラボの主力製品であるクロマキーツール ROBUSKEY for Adobe Photoshop の動画対応版を開発中です。


 その名も...と言いたいところですが、思いっきり未定です。
 ちなみに開発コードはROBUSVIE。"ROBUSKEY" と "MOVIE" をかけてみました。


 Adobe AfterEffectsの上で動くプラグインなんですが、AfterEffectsって使っている方いらっしゃいます?
 近いうちに期間限定のβ版か何かを出せたらいいなあと思っているところです。決定し次第、またお知らせいたしますね。


 画面イメージはこんな感じです↓


 ◆プラグインを起動したところ


 ◆ワンクリックで合成が完了したところ


 ワンクリックで完了、しかも風に吹かれた髪の毛の動きも美しく再現、というところが自慢ポイントです。
 と言っても、動いているところがないのでよくわからないですね...。
 ムービーは以下のリンクからどうぞ。
 http://image-d.isp.jp/commentary/chromakey_movie/index.html